概要
事情を知らない方にとっては意味不明なタイトルですが、ぷららのIPv4 over IPv6の設定に関する備忘録です。
なお、この備忘録はあくまで「私の環境でこうやったらできたよ」というレベルです。
間違っている箇所があるかもしれませんし、プロバイダの契約等によって多少結果が異なる可能性があります。
環境
回線: フレッツ光
プロバイダ: ぷらら
セット契約内容: 光セット(ホーム)
HGW: PR-S300HI
ルータ: NVR510 Rev.15.01.24
※HGWの配下にNVR510がいます
背景
これまで実家のHGW(ルータ)にはPPPoEの設定しか入っていなかったため、夕方から夜にかけて回線速度の低下や応答速度の遅延が発生していました。
せっかくYAMAHAルータもいるので、いまさらながらIPv4 over IPv6を設定してこれらを解消してみようと思ったわけです。
ぷららでは、ぷららv6エクスプレスというサービスが提供されています。
これを利用することで、IPv4 over IPv6接続ができます。
ぷらら以外の色々なプロバイダでIPv4 over IPv6の設定は何度かしたことがあるので、同様に設定をNVR510に入れてやればすぐつながるはず…と思っていました。
設定を試す
IPv4 over IPv6といっても、方式がいくつか存在します。
ぷららではかつてTransix方式を提供していたようですが、現在はOCNバーチャルコネクトに変更されているようです。*1
というわけで、以下リンクに記載の設定例を参考に、設定してみます。
OCNバーチャルコネクトでインターネット接続
…が、つながりません。
IPv6アドレスは取得できているのですが、MAP-Eのトンネルがアップしません。
# show status tunnel 1 TUNNEL[1]: 説明: インタフェースの種類: MAP-E トンネルインタフェースは一度も接続されていません
念のためぷららのマイページをしてみましたが、以下のように「開通済み」と表示されています。
この後も情報を調べながら色々設定をいじってみたのですが、一向につながりません。
VNE事業者がぷららでないことに気づく
その後しばらくしたある日、実家のIPv6アドレスを逆引きすると、ISPとして「Asahi Net Inc.」が表示されることに気づきました。
当初は、ぷららとASAHIネットを2重に契約してしまっていて、IPv4(PPPoE)はぷらら、IPv6(IPoE)はASAHIネットになってしまっているのではないか、と疑いました。
ですが、色々調べているうちに以下記事を見つけました。
【v6コネクト】の特性について ※2021年3月16日更新! | ドコモ光ユーザーの独り言
どうやら、「ISPはぷららだが、IPv4 over IPv6を利用するためのVNE事業者はASAHIネット」というパターンが存在するらしいです。
私の実家の契約はぷらら光メイトではないのですが、どうもVNE事業者がASAHIネットになっているようです。
再度設定してみる
ASAHIネットが提供するIPv6接続サービスは、v6コネクトと呼ばれているようです。*2
ということで、v6コネクトの設定例を検索して設定してみます。
YAMAHAの以下サイトに、設定例があります。
v6 コネクト接続設定例
AFTRのFQDNはこれまた一次情報が見つからなかったのですが、以下に取得する方法が書かれていました。
ASAHIネットのDS-Liteの終端(AFTR)を取得するメモ · GitHub
以下を指定してやればよいようです。
dslite.v6connect.net
ところでこのAFTRのFQDNは、ASAHIネットが公開すべき情報じゃないんですかね…。
サービス利用にあたって必要な情報なのに、公開できない理由があるんでしょうか。
とりあえず、トンネルを以下のように設定して、デフォルトゲートウェイも変更しました。
※フィルタの設定は省略しています。
ip route default gateway tunnel 2 tunnel select 2 tunnel encapsulation ipip tunnel endpoint name dslite.v6connect.net fqdn ip tunnel mtu 1460 ip tunnel tcp mss limit off tunnel enable 2
結果、トンネルがアップし、IPv4 over IPv6でつながるようになりました。
# show status tunnel 2 TUNNEL[2]: 説明: インタフェースの種類: IP over IP トンネルインタフェースは接続されています 開始: 2023/04/27 01:00:28 通信時間: 8日20時間5分8秒 受信: (IPv4) 11998692 パケット [1117644976 オクテット] (IPv6) 0 パケット [0 オクテット] 送信: (IPv4) 4715557 パケット [545025425 オクテット] (IPv6) 0 パケット [0 オクテット]
IPv4のグローバルIPアドレスを逆引きしたところ、以下のようにv6コネクトのホスト名が返ってきました。
問題なくv6コネクトで接続できているようです。
*.v6connect.net
設定の効果
回線速度
Linuxのspeedtestコマンドを利用して計測しました。
設定前
$ speedtest -s 21569 Speedtest by Ookla Server: i3D.net - Tokyo (id: 21569) ISP: NTT Idle Latency: 32.66 ms (jitter: 3.37ms, low: 26.73ms, high: 40.21ms) Download: 26.73 Mbps (data used: 43.8 MB) 35.46 ms (jitter: 2.98ms, low: 25.01ms, high: 39.98ms) Upload: 150.34 Mbps (data used: 116.9 MB) 32.84 ms (jitter: 2.54ms, low: 25.90ms, high: 40.39ms) Packet Loss: 12.4% Result URL: *
設定後
$ speedtest -s 21569 Speedtest by Ookla Server: i3D.net - Tokyo (id: 21569) ISP: Asahi Net Idle Latency: 19.56 ms (jitter: 0.25ms, low: 19.32ms, high: 20.21ms) Download: 435.71 Mbps (data used: 796.8 MB) 19.92 ms (jitter: 0.47ms, low: 19.19ms, high: 24.05ms) Upload: 136.30 Mbps (data used: 120.3 MB) 19.81 ms (jitter: 0.34ms, low: 19.09ms, high: 21.07ms) Packet Loss: 8.0% Result URL: *
Uploadはあまり変化がないですが、Downloadは分かりやすく改善しています。
余談
DS-Lite方式ではVNE事業者側でNATされるため、ポート開放ができなくなります。
しかし、PPPoEも引き続き利用できるため、以下のようにフィルタ型ルーティング等を利用してやればポート開放が可能です。
ip route default gateway tunnel 2 gateway pp 1 filter 1000