v6プラスでウェルノウンポートを開放したい

似たような記事は他にも色々ありますが、自分なりに整理したいのでまとめておきます。
なおこの分野に関して私は専門家ではないため、一部誤解等があるかもしれません。

やりたいこと

仕事柄、急に自宅でネットワーク関連の検証をしたくなる時がたまにあります。
例えばAWS等の別拠点とIPsecを張ったり、オンプレのWebサーバを外部に公開したり。
そういった場合、IPv4のウェルノウンポートを開放する必要があります。*1
従来主流のインターネット接続方式であったIPv4 PPPoEを使えば任意のポートを開放可能ですが、ネットワーク終端装置がボトルネックになって速度低下が発生しやすいので、なるべく使いたくないです。
ということでやりたいことは、PPPoEを使わずにIPv4の任意のポートを開放することです。

結論

自分なりに調べた結果、enひかりで以下オプションを契約するのが無難という結論になりました。
・enひかり固定IP
・enひかり「v6プラス」

この契約なら、v6プラスで通信速度を確保しつつIPv4で任意のポートを開放できます。
固定IP+v6プラスを設定できるルータはそこそこ限られていますが、自宅で利用しているRTX830は設定可能でした。
対応ルータの一覧は以下enひかり公式ページにあります。
enひかり|v6プラス

費用

マンションタイプで事業者変更した場合にかかる費用は、税込みで以下の通りです。(2022/06/18時点)

初期費用:
事業者変更手数料: 2,200円
固定IP割当手数料: 2,200円
計: 4,400円

維持費用:
基本料金: 3,520円
固定IPオプション: 770円
v6プラスオプション: 198円
計: 4,488円

固定IPを取得する理由

通常のv6プラス(動的IP)を契約すると、複数のユーザで同じグローバルIPv4アドレスを共有する形態になります。
ユーザごとに異なるポートを240個ずつ割り当てることで、IPアドレスの共有を実現しているとのことです。
当然ですが、割り当てられたポート以外は利用できないので任意のポート開放は無理です。
逆に言うと、固定IPを取得すれば当然自分1人で1つのグローバルIPv4アドレスを専有できるため、任意のポート開放が可能になります。

enひかり開通までの流れ

別記事に書きました。
当初の予定通り、任意のポート開放が可能になりました。
enひかり(固定IP+v6プラス)の開通までの流れ - RamuneMemo

以下、余談

IPv4 over IPv6について

そもそも、IPv4 over IPv6の実現方式はv6プラスだけではありません。
ではなぜ今回v6プラスにしたかというと、特に理由はありません。
(強いて言えば、導入プロバイダが多くて身近だった)

以下、3種類の実現方式について自分なりに理解した範囲で簡単にまとめています。

MAP-E(v6プラス)

日本ネットワークイネイブラー(JPNE)が提供する方式です。
動的IPの場合、グローバルIPv4アドレスについて、1ユーザ当たり240個のランダムなポートが割り当てられます。

DS-Lite(transix)

インターネットマルチフィードが提供する方式です。
NATステートフルのため、IPv4のポート開放は一切できません。

4rd/SAM

BBIXが提供する方式…と思っていましたが、どうやらそうではないらしいです。
BBIX の IPv4 over IPv6 技術は 4rd/SAM ではありません

技術仕様的には、MAP-Eと同じように一部のポートのみ割り当てられるようです。
BBIXが提供しているIPv4 over IPv6(ソフトバンクIPv6高速ハイブリッド)は独自方式のようで、任意のポートを開放できるらしいです。
ただし、ルータとしてソフトバンク光が提供している光BBユニットを利用することが必須で、自前ルータのみでIPv4 over IPv6を利用することはできません。
固定IPや自前ルータにこだわりがなければ、ソフトバンク光を契約すればよいかもしれません。

*1:もちろんIPv6を使えば何も気にせず任意のポート開放ができますが、やはりまだIPv4を使いたい場面が多いのが現実。本記事では、IPv6のポート開放については言及しません。